彩の助の木刀術概要

木刀を扱う剣術的な事だけではなく、体術的な事もやっていきます。

初級木刀術 剣戟時の剣同士の相性(座学)

「剣の根本が強く、剣の先が弱い」と心得て下さい。

二回目は剣戟時の剣同士の相性について。

剣戟、つまり剣同士で戦う場合の基本概念のお話です。

といっても今回は特に剣と剣がぶつかり合う場合について書いていきます。

刀を扱う場合では基本的にぶつかり合う事は避けますが、彩の助流木刀術では結構ぶつけます。(ぶつけること自体についての考え等は別記事で)

それにいざぶつかってしまった時に知ってると知らないとでは差がつきますので押さえておきましょう。

 

と言っても内容はほとんどドイツ剣術の「ウィークとストロング」の考えそのままです。

日本刀でも「鍔で迫り合い」しますもんね。

・一点目、剣先が弱く根本が強い事

剣の先に向かえば向かうほど打ち合いに弱く、根本に近ければ近いほど打ち合いに強いということです。

剣の先と剣の根本がぶつかり合うと剣の根元側が有利(ぶつかり合いに勝ち押し込める)になります。

 

詳しく説明しようとすると物理のお話になってしまって、そういうお話は上手く出来ないものですから、違う説明をここではします。得意な方はこちらを読んでいただければ想像がつくと思います。トルクの話です。

 

説明ここから

例えば剣を持っている場合

1の力で剣の根本を動かした場合、1m動きます。

1の力で剣の(根本を通じて)先端を動かした場合、10m動きます。

これだけ見ると先端のほうが沢山動いて強いじゃないかと思いますが、注目して欲しいのは1m動かすのにどれだけの力が使われているかという所です。

1m動かすのに根本では1の力が使われていますが、先端では0.1の力しか使われていません。そのままぶつかりあえば1の力と0.1の力のぶつかり合いになり先端側は押し負けてしまいます。

 

表現が合っているか分かりませんが「先端では力の密度が薄い」のです。

力の総量は変わらないのです。

説明ここまで

 

 

話だけだと想像しにくい方は何か棒状のものをご用意下さい。

片方の手でなるべく端っこを持って、それを剣に見立て

もう片方の手で根本と剣先を押してみて下さい。

 

押す力に抗おうとする場合、剣先を押された場合により多くの力が必要なことが体感出来るでしょう。

 

剣先が弱く根本が強いというのがわかったかなと思います。

 

・二点目、上から来る方が強く下から来る方が弱い事

二点目はすごく簡単な話です。

上から来る…つまり斬り下ろす攻撃には重力の力が加わります。重さが味方に付くわけですね。風で言う風上です。

下から来る…つまり斬り上げる攻撃には重力の力が妨げになります。重さが邪魔になるわけですね。風で言う風下です。

 

同じ力でぶつけ合った場合、斬り下ろす方には重さ分がプラスになり斬り上げる方は重さ分がマイナスになります。

 

・まとめ

根本と上側が強く、剣先と下側が弱いという事です。

じゃあ上から来る剣先と下から来る根本がぶつかるとどうなるんだ?と疑問に思うかもしれません。

これはよほどの力量差、武器の質量差がない限り下から来る根本が勝ちます

上か下かは根本からの距離が同じくらいの時に影響してきます。

 

つまり「剣の根本が強く、剣の先が弱い」と心得て下さい。

 

当然ぶつけ合う、受け止め合う前提の話なので剣の軌道を逸らす(いなす。なんて言ったりしますね)だけが目的だったり、そもそもぶつかりあった時に剣が壊れてしまったりしたらこの限りではありません。一応例外はつきものです。

 

 

受け止める時は根本で!簡単に覚えるならこんな感じです。