彩の助の木刀術概要

木刀を扱う剣術的な事だけではなく、体術的な事もやっていきます。

初級木刀術 剣戟時の剣同士の相性(稽古)

剣の相性についての稽古…は相手が居ないと出来ませんので、今回は一人でもできる内容を書きます。

座額でもやった剣の先と剣の根との相性(優と劣)を体感するのが目的です。

剣の根と先で受ける・与える力の感触を体感して下さい。

受ける負荷の違いを体感する

まずは木刀…じゃなくてもいいです。
棒状のものと布状のもの(ハンドタオルなど)を用意してください。
棒のお尻のところを片手で持ち、もう片方の手で布を剣で言う根のところ、棒をもっている手のすぐ近くに乗せてみてください。
その時感じる布の「重さ」を感じたら次は棒の頭の所に乗せてみてください。

根の所に乗せたときよりもずしっと来たと思います。そういうものです。そうでなければ棒が短いか布が軽すぎるか棒を持つ位置がおかしいです。

では次に頭と根のどちらに布をおいても棒が地面と水平に保つように意識してみてください。
布をおいたらもう両手でもっても良いですよ。

布の重さは変わらないのに水平に保つようにする労力には違いが出たでしょう。

擬似的に「全く同じ攻撃」を棒の寝と頭で受けたときの負担の違い。を体感できたかと思います。

まずはこの感覚を体で覚えるのが大事です。といっても難しいものではなく、意外とすんなり体に入ってくると思います。

与える威力の違いを体感する

今度は先程の布を手に巻いて(あるいは持って)もう片方の手で棒を持ってください。
後はなんとなくお分かりかと思います。
棒の先で手を抑えつけた場合と、棒の根本で手を抑えつけた場合の違いを体感してください。

棒の先で抑えつけるより、根本で抑えつけられた方が布を巻いた手が崩されやすかったと思います。

こちらはとっさのときに頭から抜けやすいと思うのでしっかりと体で覚えましょう。

ただ、攻撃するときは棒の先で攻撃します。
攻撃時の感触は相手(受けてくれる相手)が居る時に試してください。
今回は「崩す」もしくは「剣で押し合う」時に根本を使うべき(逆説的に、剣先で押す、崩すことが難しい)ことを体感するのが目的です。


防御は根本、攻撃は剣先、崩しは根本

当然例外もあります。が、物理的な作用の上での優劣なので基本はこれを覚えてください、体で。
それから、どうしてもこの優劣の相性を承知の上で特別なことがしたくなった時に特殊な体の使い方をします。

初級では書きません。中、上あたりで書いてみたいと思います。

根で防ぎ 先で斬りつけ 根で崩す。 彩の助
一句思いついたので書いちゃいました。

初級木刀術 剣の角度の事(稽古)

剣を振る際の角度の違いによる感触の違いを体感して下さい。

今回は「剣を振る時の角度」に重点を置いた稽古法を書いていきます。

まずは正しく柄を握りましょう。

 剣の峰につながっている部分が親指の付け根と人差し指の間の柔らかいところに

剣の刃につながっている部分が人差し指から小指の第一関節辺りに来るように握ります。

細かい角度はご自分の手に合わせて決めて下さいね。

 

柄を握った時にしっくり来る向きというか、自然と来る向きと言うか。でも大体上記の向きに来ると思います。

上下の位置もこれまた好きなところでいいです。が、なれないうちは刃に近い方を握ったほうが振りやすいと思います。

 

左右の手の位置関係ですが、聞き手が上に来るように持ちましょうね。まずは基本の形を身に着けましょう。

 

慣れたら意識しなくても、なんだったら目を瞑っていてもちゃんと持てるようになりますので、気疲れしない程度に意識して下さい。

次に地面に向かって垂直に振り下ろす。

 周りに何もないことを確認して(木刀で破壊できる物は多いです。壊したくない物は当てられない所へ移動しましょう)

両手が頭の上に、切っ先は地に向くように振りかぶります。

そして地面に向かって振り下ろします。この時、角度(丁度自分の首が左右に向くのと同じ方向の角度)を意識しながらゆっくり振り下ろして下さい。刃筋を立てる、ですよ。

地面を叩かなければどこまで振り下ろすかはお好みで。

 

なぜ垂直かと言うと「多分垂直が分かりやすいだろう」という理由です。

 

わたしゃ水平のが分かりやすいわい。という方は水平で行っても結構です。

どうせ慣れたら様々な角度で振りますので、慣れるまでに角度をごちゃまぜにしなければなんでも良いです。

でも多分体の構造上垂直に振り下ろしたほうがやりやすいと思います。

 

少しずつ早くしていきましょう。

さて、何度かやって慣れてきたら少しづつ早くしていきましょう。

慣れないうちは早く振ると制御しきれなくて地面にぶつかってしまったり、角度等不安定になってしまうと思いますので、その事も注意しながらちょっとずつご自分のペースで早めていって下さい。

 

早くなっていくにつれて木刀から風を切る音が聞こえてくると思いますのでよく聞いておきましょう。

 

慣れてきたら音で分かるようになります。(当然木刀、振り方によって音は変わりますのでその木刀での場合です。)

一度あえて90度向きをつけて…丁度木刀の側面で叩くように振ってみて下さい。

多分ブォンと派手な音がしたんじゃないかなと思います。

それがダメなときの音です。

 

ちゃんとした音を聞きつつ、だんだんと早くしていきます。

 

慣れたら様々な角度で振っていきます。

これ以上早くするのは辛いな…という所まで来たら今度は角度を変えて振っていきましょう。

ここで言う角度とは振り方の角度の事で、先程までの木刀自体の角度ではありません。

 

垂直に振り下ろしていたのを水平に振ってみたり、その間の斜めで振ったり、色々やってみて下さい。

慣れないうちは振る角度が変わると刃筋が立たなくなることも多いでしょう。

 

また、慣れてきたら次々に角度を変えて振っていくのも良いです。

同じ動作の繰り返しより刺激があると思いますし、何より稽古という感じではなく刀を振っている感じも出てきて何となく楽しくなってくる頃かと思います。

 

次々に振る角度が変わりつつも刃筋を立てるのは少し難しい事ですが、稽古としての効果も高いので頑張りましょう。

 

刃筋が立っているかどうかの意識は常にしておいて下さいね。

 

確実に身につけて下さい。でも無理はせず。

どんな角度で振っても刃筋が立つ。というのを目標にして、確実に身に着けるよう心掛けて下さい。

刃筋が立っていなければ斬撃ではありません。これが出来てやっと斬撃ができるのです。

 

とは言え無理をして体を痛めないようにして下さいね。

手に豆が出来たり、皮が向けたりする事もあるでしょう。辛くなったら、無理に続ける必要はありません。

間を置くことで身につくこともあります。

自分なりのペースで稽古をしていけば良いのです。

 

 

少々記事の内容からはそれますが、動画を撮って参考にしてもらおうと思っていますので、そのうち公開する予定です。

そういうことをやったことが無いので、今はまだ勉強中です。

 

心得の事 稽古から何を得るのか(座学)

「稽古は術理を得るために行い、得るものがただ一つの術理とならないように敏感に行う」と心得て下さい。

今回は稽古から「何を得るのか」というお話

(一番はじめに書いて置きますが今回は「何か」という言葉が頻発します。この「何か」は、疑問の対象を指した代名詞のつもりです。数学が得意な人はXと置き換えても大丈夫です。)

 

「何を得るのか」は剣術に限らずどんな術の稽古でも常にでてくる疑問です。

稽古をして何を得るのか。この(型の)稽古は何の習得を目指しているのか。という事は常に考えなければなりません。この何の部分を「何か」と呼びます。

 

他人の作り出した「稽古」から何かを学ぼうとする時に、何よりも大事な考え方、捉え方です。

「何か」を体得させるという目的がある→それを達成しうる動作を考え出す→そこで生まれたものが、稽古の型。です。

大事なのはあくまでも前者であって後者は主な目的では無いわけですね。

 

SFの世界のお話ですが、脳みそにCDドライブを接続してCDを読み込ませると、その「何か」が完全に身につくのであればそれでも良いのです。別に。当然そんなものありませんが。

 

今回の記事ではその「何か」を私なりに説明していきます。

一言では表しにくい概念的な事なので、いくつかの要因に分けて書きます。

 

・まずは稽古の裏にあるものを意識する、体感すること。

殆どの場合では稽古によって「型通りの動き」を習得する事が目的ではありません。

「型通りの動き」によって得られる「何か」を得るために「型の稽古」を行っています。

型通りの動きしかできないのではまるで意味はありません。といっても全く型通りの動きができないようではこれまた意味がありません。難しいところです。

 

型通りの動きにまずは身を投じて、その術の理を体感してやっと稽古が始まります。

 

一つ例えを出してみます。

こちらの記事にある「剣は先が弱く根が強い」が術の理だとします。

それを体感させるために

二人組で片方は剣先、相方は根本を使って打ち合う。

剣先と根本は交互に入れ替えて行う。

という稽古をします。

 

この場合、下線部が目的なのではなく、その裏に「」の中にある目的が隠れている。そういうことです。

表に見える稽古の裏に隠れている「何か」に敏感になりましょうという、ただそれだけの話です。

 

この「何か」、時にはとても言葉にしにくい事もあります。

だから言葉にできなくて無理をしたり苦しんだりする必要はありません。

「言葉にできなくても頭にはなんとなくある」と自信を持って感じることができたなら、大丈夫です。

それを感じる所から稽古が始まります。(そこで分かった気になってしまうとそこで終わりですので、常に疑問に感じ、敏感になって下さいね。

 

技をかけられた時のあの不思議な感じはとても良い示唆なので大事にして下さい。

 

ゲームみたいにいうと「技(スキル)の存在を知っている」状態です。

 

・次に意識して扱えるようになること(型の投影)

なんとなく「何か」を感じたら次に目指すのはその「何か」を扱えるようになることです。

分かっても使えなかったらなんにもなりませんからね。

ひたすら稽古!これにつきます。ちゃんと型どおりに。

この段階ではゆっくりやっても問題ありません。

作業をこなしていくように一つ一つ指差し確認して確実に行っていきましょう。

 

流派によって考え方は異なりますが、彩の助流ではゆっくりやって欲しいです。

疲れたら休憩してもいいんです。痛くなったらその日は終わりにしてもいいんです。

 

ちょっとずつ出来るようになっていきましょう。

型どおりにちゃんと出来るようになったら次の段階です。

 

ゲームみたいにいうと「技(スキル)が使えるようになった」状態です。

 

・次は意識せずに扱えるようになること(型からの脱却)

ちゃんと出来るようになったら次は意識せず扱えるようにしていきます。

この段階でもひたすら稽古!です。

意識せず扱えるようになって初めて身についたと言えるでしょう。このことを体得すると言います。

 

なんか天気が崩れそうだから今日は早めに洗濯物を取り込もうかなぁ…。

なんて考えながら出来ると良いですね。

簡単に書いてますけど、相当の稽古量を必要としますよ。ここはもう達人の域だと思って下さい。

 

この段階まで来ると「何か」…つまり術の理がほぼつかめてきているでしょう。

そろそろ「型」という形から抜け出し初めている頃です。

術の理というものはその型の中だけで生きるものでは無くもっとこう、普遍的な、体の一部というか、そういう根幹にある術です。

 

つまり型どおりでなくとも術の理が活かせているようになってきます。

本当に、こうなって初めて体得と呼べるのです。

 

車の運転に例えますと

クラッチを踏んで、ギアを変えて、エンジンの回転数を合わせて、クラッチを繋いで…という操作が自然に、一体に行えてる状態です。

ハッと焦った時に乱れてしまうようではこの段階には来ていません。

「人馬一体」という言葉の表す状態にも近いものがあるでしょう。

クラクションの適切な運用。苦手な方が多いんじゃないでしょうか?

免許を持っておいて恥ずかしい事と思いますが、私も得意ではありません。

そんな目に合っていないので確かめようもありませんが

止まっている時に脇見運転をしてる人が突っ込んできてる…なんてときにクラクションを使える分かりません。

避ける方に意識を取られてしまいそうな気はしています。

 

型の形に捕らわれず、自然に術の理が行かせている。ちゃんと出来るようになったら次はここを目指しましょう。

 

ゲームみたいにいうと「技(スキル)が自動で(適切に)発動している」状態です。

 

・まとめ

まとめますと、稽古によって得る「何か」とは術の理…術理の事です。

稽古というのはそのための手段に過ぎません。ですが現実的には最も理にかなった手段です。

天から何かを授かるとかSF世界とかそういう特殊なケースでなければ他に良い方法はほとんど無いでしょう。

その術理を得るために稽古をします。

 

きちんと型どおりに稽古をしないと身につかない…でもただ型どおりに動いてるだけでも身につかない。なんとも矛盾するような、難しいものです。

でも、それほど難しいものでもありません。難しいというより奥が深いと思って下さい。

それにその「術理」を得たらおしまいかと言えばそうでもありません。

 

長い歴史をかけて体系付けられた不思議なものからは常に、沢山学べることがあるはずです。

 

それを見逃さないように常に敏感になっておいて下さい。

「稽古は術理を得るために行い、得るものがただ一つの術理とならないように敏感に行う」と心得て下さい。

 

簡単に言うと型には型以外の教えがいっぱいですよ。という感じでしょうか。

 

・その先にある極地(オマケ) 

その先にあるものは私もただなんとなくあるだろうと感じるだけで、まだ良く見えていません。

いや私のような未熟者では到底分かりようもない所のお話なのかもしれません。

ただ1つ分かるのは私はこの域には確実に到達していない事だけです。

 

その先にあるものとは「術の理が完全に自身に浸透し一体化している」状態です。

こうなってくると自身ではうまくその存在を認識できないと思います。

 

術の理の習熟度が極限に達し、呼吸と同じように常にその理が共に在り

技を使うとか使わないとかではなくその人の性能として常に発現している状態。

ある種その理の副産物的なものまで全てが浸透しておりもはや技という形としてこの世には無いのだろうと思います。

 

ゲームみたいにいうと「技(スキル)が違うものに変容し、その人の性能(ステータス

)が変化(強化)されている」状態に近いと思います。

 

初級木刀術 剣戟時の剣同士の相性(座学)

「剣の根本が強く、剣の先が弱い」と心得て下さい。

二回目は剣戟時の剣同士の相性について。

剣戟、つまり剣同士で戦う場合の基本概念のお話です。

といっても今回は特に剣と剣がぶつかり合う場合について書いていきます。

刀を扱う場合では基本的にぶつかり合う事は避けますが、彩の助流木刀術では結構ぶつけます。(ぶつけること自体についての考え等は別記事で)

それにいざぶつかってしまった時に知ってると知らないとでは差がつきますので押さえておきましょう。

 

と言っても内容はほとんどドイツ剣術の「ウィークとストロング」の考えそのままです。

日本刀でも「鍔で迫り合い」しますもんね。

・一点目、剣先が弱く根本が強い事

剣の先に向かえば向かうほど打ち合いに弱く、根本に近ければ近いほど打ち合いに強いということです。

剣の先と剣の根本がぶつかり合うと剣の根元側が有利(ぶつかり合いに勝ち押し込める)になります。

 

詳しく説明しようとすると物理のお話になってしまって、そういうお話は上手く出来ないものですから、違う説明をここではします。得意な方はこちらを読んでいただければ想像がつくと思います。トルクの話です。

 

説明ここから

例えば剣を持っている場合

1の力で剣の根本を動かした場合、1m動きます。

1の力で剣の(根本を通じて)先端を動かした場合、10m動きます。

これだけ見ると先端のほうが沢山動いて強いじゃないかと思いますが、注目して欲しいのは1m動かすのにどれだけの力が使われているかという所です。

1m動かすのに根本では1の力が使われていますが、先端では0.1の力しか使われていません。そのままぶつかりあえば1の力と0.1の力のぶつかり合いになり先端側は押し負けてしまいます。

 

表現が合っているか分かりませんが「先端では力の密度が薄い」のです。

力の総量は変わらないのです。

説明ここまで

 

 

話だけだと想像しにくい方は何か棒状のものをご用意下さい。

片方の手でなるべく端っこを持って、それを剣に見立て

もう片方の手で根本と剣先を押してみて下さい。

 

押す力に抗おうとする場合、剣先を押された場合により多くの力が必要なことが体感出来るでしょう。

 

剣先が弱く根本が強いというのがわかったかなと思います。

 

・二点目、上から来る方が強く下から来る方が弱い事

二点目はすごく簡単な話です。

上から来る…つまり斬り下ろす攻撃には重力の力が加わります。重さが味方に付くわけですね。風で言う風上です。

下から来る…つまり斬り上げる攻撃には重力の力が妨げになります。重さが邪魔になるわけですね。風で言う風下です。

 

同じ力でぶつけ合った場合、斬り下ろす方には重さ分がプラスになり斬り上げる方は重さ分がマイナスになります。

 

・まとめ

根本と上側が強く、剣先と下側が弱いという事です。

じゃあ上から来る剣先と下から来る根本がぶつかるとどうなるんだ?と疑問に思うかもしれません。

これはよほどの力量差、武器の質量差がない限り下から来る根本が勝ちます

上か下かは根本からの距離が同じくらいの時に影響してきます。

 

つまり「剣の根本が強く、剣の先が弱い」と心得て下さい。

 

当然ぶつけ合う、受け止め合う前提の話なので剣の軌道を逸らす(いなす。なんて言ったりしますね)だけが目的だったり、そもそもぶつかりあった時に剣が壊れてしまったりしたらこの限りではありません。一応例外はつきものです。

 

 

受け止める時は根本で!簡単に覚えるならこんな感じです。

 

剣木刀術 剣の角度の事(座学)

「刃筋を立てることが出来て始めて剣で攻撃することができる」と心得て下さい。

第一回目は剣の「角度」について。

木刀術というブログタイトルにいきなり反しますが、真剣でのお話だと思って読んで下さい。

木刀ならば真剣ほど慎重な話ではなくなってきますが、基本は同じです。

 

さて角度というと何が軸なのか混乱されるかと思います。

あらゆる角度、全て大事ですが今回は特に一つの角度について取り上げます。

 

それは剣をドリルみたいに使う場合に回転させる角度です。

手に持った時に一番回転させやすい角度ですね。刃のラインに対して垂直方向です。

つまり剣の刃が対象物に対してどのような角度で当たるのかを左右する角度です。

 

ここの角度は刃が対象対してに垂直になる角度になるように意識しましょう。

刃が対象物に対して垂直になっていることを「刃筋が立つ」なんて言ったりもします。

大抵の場合この角度は剣の軌道に対して並行であると思います。

 

 

垂直とか平行とかわけわからなくなってきたかも知れません。

要は刃がまっすぐ相手に向いていれば良いのです。

チョップ(手刀)する時に小指が当たるように、指の背や腹ではなく小指が当たるような感じです。

 

理由は様々ですが、刃筋が立たない事の欠点がとても多いです。

例えば切断時、刀身に深刻な負担をかけます

角度がズレていると余計な抵抗を生み剣の軌道がそれます(空気中では体感しにくいかもしれませんが、水中では顕著です。下敷きかなにかで試してみて下さい。)

加えられた力と剣の軌道との間にズレが生じその軋みは刀身を歪めます。

剣は綺麗に斬っていても徐々に刀身が歪んでいくものですが、そこに拍車をかける事になります。

刀の場合、鎬の面(手刀でいう手の平、甲の面)で殴れば刀身は簡単に曲がります。

 

更には斬れるものも斬れません。

あまりに角度がズレている場合、それはもはや「斬る」ではなく「殴る」となります。

刃が物を斬れる最大の理由は対象に触れる面積が小さいが故にその小さな面に力が集中することにあります。

角度がズレればズレる程触れる面積が大きくなることで力は分散し、対象を斬り進むだけの力を失います。

 

 つまるところ

角度がズレていると剣に負担がかかるばかりか性能を発揮できないのです。

 

 

当然狙いがあって角度をズラすことはあるでしょう。

 

あえて90度ずらして振る技もあります。

が、それも空気中を移動している間の話で攻撃の瞬間には適切な角度になっています。

 

つまるところ、ほとんどの状況で適切な角度であることが基本なのです。

 

「刃筋を立てることが出来て始めて剣で攻撃することができる」と心得て下さい。

はじめに

初級では基礎の基礎。

剣や体の扱い方とか、どうやって剣を振るかとか、それら以前の事を書いていきます。

これから剣を振る事を始めてみようという方向けの内容になると思います。

 

例外はあるでしょうが、多分どこで剣を習っても、はたまた練り上げていくにしても

基本的にこの理から逸れることは無いでしょう。

何故刃が物を斬り裂くのか等の原理に近い話も出てくるので少々堅苦しくなるかもしれませんし

派手さが全くない事柄なので、話の内容はとてもつまらないと思いますけど、大事な事なので身につけておいて下さい。

 

座学と書いてある記事はちょっと小難しい内容を書いていきます。

読んで考えて知る。概念的な話だったり、物理的な話だったり。

体を動かすと言うより頭の方の稽古になります。

稽古と書いてある記事は稽古法や体で知るための内容を書いていきます

実際に体を動かすのはこちらです。修行という感じが強いです。

 

「座学」と「稽古」については全ての記事で同じようにやっていきます。